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屋久島ガイドがお届けする今日のおすすめヒトトキ

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2011年 06月 04日

両親来島

大手企業で働きぬいた父、その父を支え続けた母は、去年その暮らしに終止符を打ち福岡で第二の人生を祖母とはじめている。


5歳の僕を富士山の天辺まで連れて行く父は大の植物好き。僕は過酷な富士山がきっかけで海にばかり魅力を感じる日々だったが、西ヒマラヤのカラコルム山脈のおよそ100kmの縦走をきっかけに、徐々に山の壮大な魅力にとりつかれるようになっていった。造園業をしてからはすっかり木が好きになり盆栽をこよなく愛するほどまでになってしまった。祖父も植物と写真が大好きだったようで、父方の遺伝子をたっぷり受け継いでいるようだ。


母は僕が高校を中退してから、うざったいほどに自分の気に入った本を僕に紹介する人だった。しかし、嫌々、そして何気なしに読んでみた本が心に残ることがたくさんあった。その中でも星野道夫さんの写真集「星野道夫の世界」、エッセイ「イニュニック」はまだ10代で大人の世界を嫌う僕のガチガチの心に少しだけ入り込み、それから今日までの間、事あるごとに拡大を続けながら感動と勇気を与えてくれている。そして、映画館にもよく誘われた。都会の映画館ではなく古い映画やマニアックな映画を上映する小さな映画館だ。名前はもう覚えていないが東京下高井戸にある映画館だった。そこで上映された龍村仁さん監督「地球交響曲~ガイヤシンホニー~」は、迷いだらけの僕に歩く道を創ってくれた。出演する星野道夫さんをはじめ、ジャック・マイヨール、ジェリー・ロペス、佐藤初女、ダライ・ラマ法王、ナイノア・トンプソン、名嘉睦稔、ジェーン・グドール・・・ 自然と共に自分の心に正直に生きている彼らとの出会いで、日本の大人たちがつくり上げた常識に惑わされずに僕の夢は無限に広がっていった。母からの有難い贈りものだ。



そんな僕の父と母と白谷雲水峡をいっしょに歩いた。父とは大いに植物の疑問や屋久島の自然について話した。母は時々無言で屋久島の自然と対峙していた。その無言の後姿とたくさん話せた。


ああ、いい両親のもとで僕は育ったんだなあ。

生まれてはじめて心から思えたような気がする。

遊びにきてくれてありがとう。また孫に会いに来てね。
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by shunzo_tabibito | 2011-06-04 11:17 | 旅する人


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